組織内部をイノベーター理論で考えて人事制度のキャズムを超える

◆困った

人事制度や組織内での制度を作ることがあるが、作っても組織に浸透しないことってよくある。作ったとしてもターゲットとなる人たちに使われない組織制度はあんまり意味がない。一部の人には使われるんだけどみたいなのも含めて。これはプロダクトでも結構ある。

 


◆こう考えるとか

プロダクト作る時にも同じような課題はあるならば、プロダクト作るときの考え方で捉えてみたらどうか?物事の浸透について考える時よく使われる理論はイノベーター理論やキャズム理論。今回はそれら理論を使って、社内制度をどう浸透させるかついて考えてみる。

 

参考書籍はキャズム2

 

◆イノベーター理論とは?

マーケットの消費者を5分類する考え方。詳細はこちらのブログがまとまっています。5分類の人々がそれぞれどんな人であるか、以下ブログをそのまま貼りました。

 

イノベーター(革新者)
市場全体の2.5%にあたる、製品をもっとも早い段階で購入する層です。商品の目新しさを重視します。

アーリーアダプター(初期採用者)
市場全体の13.5%を占める層です。流行に敏感で、自ら判断して製品を購入します。この層に受け入れられるとマジョリティ層へのアプローチがしやすくなります。
また、いわゆる「オピニオンリーダー」もこの層から誕生すると言われています。

アーリーマジョリティ(前期追随者)
市場全体の34%を構成すると言われている、新しいものを購入するのに慎重な方々のことをいいます。アーリーアダプターの影響を強く受ける傾向があります。

レイトマジョリティ(後期追随者)
市場の34%を占める、新しいものに対して懐疑的な消費者です。新市場の半分以上が導入してから、自らも購入します。

ラガード(遅滞者)
市場の16%を構成する、もっとも保守的な層です。製品が伝統化するまで導入はしません。

 

boxil.jp

 


キャズムとは

市場は、イノベーター、アーリー・アドプターからなる初期市場、アーリー・マジョリティー、レイト・マジョリティーからなるメインストリーム市場、そして新しいものに関心を示さないラガードで構成されています。

 

で、キャズムというのを一言で言い表すと、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間でサービスの浸透が止まってしまうこと」で、その谷をキャズムと言います。

 


◆なぜキャズムに落ちるのか?

こちらもかいつまんでしまいますが、「各登場人物でニーズや大事にすることが違うから」です。

・イノベーター:新しいものが欲しい

アーリーアダプター先進的でビジョナリーでありたい

・アーリーマジョリティ:損しないで便利になりたい

 

 


キャズムを超えるサービスとは?

①それぞれの段階でそれぞれの登場人物(ユーザー)に合った価値を提供できてる。

アーリーアダプターがサービスの良さを伝播して「みんなも使ってるから安心で便利なんだ」感をアーリーマジョリティに感じてもらう。

 


◆これをどう組織制度に置き換えるか?

ポイント

①同じ会社の中にも先進度や動機付け要因が異なる社員がいる、という前提で社員を1つにまとめず分けて考える。

②今どの層の社員に使われてるか?を把握する

アーリーアダプター(≒影響力の強いエース社員であることが多い)が積極的に制度を利用してくれているよう、集中的に働きかける

アーリーアダプターがアーリーマジョリティにサービスの良さを伝えられてるか?

 

アクションとしてはポイント③が極めて重要です。

制度を社内でメジャー化するには、先進的で影響力の強いエース社員(アーリーアダプター社員)が制度を利用してくれるかが鍵です。

利用した上で価値を感じてもらうことができれば、エース社員が社内で自然と制度を広めてくれて、一気にメジャー化します。ここに刺さらないと社内が「この制度って使っていいの?使っちゃダメなの?」みたいなお見合い空気になってしまい、結果的に利用率が下がってしまいます。(あるいはそんな空気になる以前に、そもそも制度を認知されなかったり…)

 

◆成功してる企業例

アメブロやAbemaTVを運営する超多角事業会社のサイバーエージェントはこのあたりをうまくやっていることで有名です。

 

下記ブログが、サイバーエージェントの人事施策がよくまとまってます。総じて言えることが「少数の超イケてる社員を初期に巻き込む」という点かと思います。

 

「社員の強みを活かす人事制度」と「強い人事の条件」とは?#HRENGINE レポート | HR NOTE